2017/03/14

2017.3.12 赤谷川源頭・万太郎山


メンバー : TU、KS、TS


6:28  土樽駅発(JR上越線・水上行)
6:37  土合駅着
7:00  谷川岳ロープウェイ(運行開始まで待機)
8:50  天神平
9:30  熊穴沢避難小屋
10:45  肩ノ小屋
11:20  中ゴー尾根分岐
12:10  オジカ沢の頭
13:20  赤谷川源頭を経て万太郎山への尾根取りつき
14:50  万太郎山 山頂
16:00  大笹台を経て毛渡沢
16:30  バッキガ平(群大ヒュッテ)
16:50  土樽
17:20  土樽駅


「岳人100ルート」
岳人編集部がジャンルを問わずに選出した100の名ルートであり、
2014年5月号から8月号の「岳人」に掲載された特集。
その中にあった赤谷川源頭を行くルートに目をひかれ、
いつかは行ってみたいと思い続けていた。
その頃はまだ、自分が山スキーをやるとは思ってもいなかったので
色んな意味で遠い世界だったのだが…
今シーズンは目ざとく谷川岳の天候をチェックし続け、
大雪もひと段落着いてようやくチャンスが巡ってきた。
「やった!ようやく憧れていたルートに行けるぞ!」

しかし同時に思う。
山スキーを始めてわずか2ヶ月の自分が行っていい場所なのか…
とんでもなく長いルートだが、
途中で体調不良や機材のトラブルがあったらどうしよう…
広大な斜面で大規模雪崩にあったらどうすればいいのか…
そんなことが延々と頭の中をぐるぐると廻り続けた。
山に行くということに対して、こんなにも恐れと期待が入り混じり、
眠れない前夜を過ごしたのは初めての経験だった。

とにかく、今回の山行を成功させるための秘訣は二つ。
①土樽発の始発で土合に行くこと
 直接車で谷川岳ロープウェイに行って、
 下山後に電車で土樽→土合に戻るケースも考えたが、
 予想外に時間を要してしまうと帰りの電車に間に合わなくなる。
 また、そのことによる焦りによって事故を起こしやすくなる。

②肩ノ小屋まではゆっくり登って体力を温存すること
 長丁場なので序盤から飛ばさないこと。
 シール登行にこだわりすぎないこと。

朝6時。
TUさん、KSさんと土樽駅で集合。
装備を整えて6:28の始発に乗り込む。
ホームに滑り込んでくる電車に胸が高鳴る。
電車移動から始まる山行は新鮮で気分が良い。
土合駅から谷川岳ロープウェイまでは車道を歩く。
7時頃、ロープウェイの駅に着いた時はまだ閑散としていたが、
運行開始が8:30にも関わらず、
7:30頃にはどんどん人が増え始めてあっという間に大行列ができてしまった。
ずーっと悪天候が続いたあとの、ドピーカンの日曜日ともなれば仕方がないか。
何とかチケットを確保してロープウェイで天神平へ。

ゲレンデ脇を登っていると後続もゾロゾロとやってきて、
天神尾根はさながら大名行列の様相。
序盤に一か所だけある急な岩場の下りは、
豊富な雪によって緩いスロープになっており難なく通過。
だが、後から振り返ってみると
団体のツアー客が手間取って渋滞が発生している。
早めに発ってよかったと胸をなでおろす。
完全に埋没した熊穴沢避難小屋を横目に、急登に差し掛かる。

傾斜が強まると、クラストした層の上に新雪が載っている状態になり、
シール登行がヘタクソな自分は、ズルズルと滑り落ちてしまいもどかしい。
これでは体力と時間の無駄だと判断し、
早々にスキーを脱いでアイゼンを装着する。
2時間ほどで肩ノ小屋に到着。
軽く休憩と補給をし、ストックをピッケルに持ち替えて
オジカ沢の頭を目指す。

中ゴー尾根分岐まではすんなり進めたが、
そこから先は雪壁の直登やガチガチにクラストしたヤセ尾根、
かと思えば腰まで落ちるような落とし穴があり、
やや通過に手間取る。
この時、ブーツに大量の雪が入ったせいで、
下山までずっと濡れた足のまま歩く羽目になってしまった。
稜線の南側を巻きつつ、オジカ沢の頭に到着。


長いこと待ちわびた赤谷川源頭の圧巻の絶景が一望でき、
思わず歓声が上がる。
少し下った先に避難小屋があるので、
そこで滑降の準備をしますかと意気揚々と歩いていると、
突然胸高さまでもぐってしまう巨大な穴を踏み抜いてしまった。
良く見ると穴の前後にも深いクラックが一直線に走っていてびっくり。
足がつく深さでよかったと這い上がる。

絶景を楽しみながらしばし憩う。
さぁ、シールを剥がして赤谷川源頭へ行きませう!
斜面のスケールがあまりに大きくてスピードが出過ぎてしまうが、
自制しつつ、景色を楽しみながら下る。
デブリ一つない、白くなだらかな大斜面がどこまでも続く夢のような世界。
沢のボトムに降り、大きなカーブで尾根の末端を回り込むと、
新たなる大斜面が右から左から迫ってくる。
天国、楽園、桃源郷、極楽浄土…
いったい何と表現すればいいのかな~、などと思いながら
気分良く板を走らせていく。
滑り出しから万太郎へ登り返す尾根の取付きまでわずか20分。
あぁ、もっとこの喜びを味わいたかった…







谷底を滑っていき、
右奥の万太郎に登り返すのが今回のルート








ここからは万太郎への長く厳しい登り返し。
標高差は約500m。
時刻は14時になろうとしており、
どこまでも続く白い世界は照り返しも激しく、
強烈な日射と相まって忍耐の登りとなった。
したたり落ちる汗をぬぐいながら、
歩みは遅くとも一歩一歩登っていく。








強烈な照り返しの中、
汗をぬぐいながら500mほど登り返す







上部の登りでは笹ヤブが所々顔を出しているだけでなく、
シュカブラでボコボコになっており、非常に登りにくい。
このルートは本当に賞味期限が短いんだと実感。
TUさんとKSさんがすいすい登っていくなか、
自分はズルズル滑り落ちてしまい、
己の未熟さが恨めしい…

スキーを脱いでアイゼンを履くも、
前爪だけで立てるほどの堅い斜面、
雪の下に隠れた笹ヤブ、
膝まで潜ってしまう柔らかい雪と、
雪面の状況がめまぐるしく変わるため登りにくいったらありゃしない。
大きくジグを切りながらめげずに登り続け、
ようやく万太郎の山頂に到着。
これまでに滑ってきた赤谷川源頭、仙ノ倉、平標山、日白山、
タカマタギ、苗場などの展望を楽しみながら
最後の滑降に向けて準備を整える。
徐々に日も傾いてきた。

山頂直下はシュカブラの凹凸とクラストが酷かったが、
5分ほど下った後は大笹台への大斜面滑降を楽しむ。
15分ほどで大笹台の末端について振りかえると、
自分たちのつけたシュプールとそびえ立つ万太郎が最高にカッコ良かった。
本当に来てよかったなぁ…としみじみ。
毛渡沢への樹林帯ではツリーランを楽しむ。
日中はあれだけ暑かったにもかかわらず、
雪質がよくてなかなか楽しめた。
突然の来訪者に驚き、全力疾走で逃げていくウサギ達を横目に
毛渡沢のボトムまですべる。

そこから先は先行者がつけたガッチリとした滑走路がついていて
非常に楽をさせてもらった。
勢いよく滑りながら連続するコブでジャンプし、
腰を落として右に左にショートターン、
木々をかわして枝を払いのけながら3回ほど渡渉して、
信じられないようなスピードと楽ちんさで群大ヒュッテへ。
「こんなに楽でいいんですか!」と思わず笑いが出る。
バッキガ平からの平標新道も、
同じようにきれいなトレースがついていたおかげで
ノンストップのまま一気に土樽に到着。

車道を歩いて土樽駅へと戻る道すがら、
遥か上の方に上越国境が見えた。
白い稜線が夕日に照らされて光り輝いている。
「さっきまであんなところを歩いていたなんて信じられない」
黄昏る空を見上げ、大満足した山行の余韻に浸りながら
土樽駅に到着。
車を回収して旅は終了となった。















うーむ、素晴らしい!





左奥のオジカ沢の頭からわずか20分
スキーの機動力はすごい!







万太郎山頂
ぼちぼち日も傾いてきた






八海山、巻機方面を遠望






たくましくそびえる仙ノ倉
いつか滑ってみたい





仙ノ倉北尾根と日白山
左奥には苗場






万太郎山頂から大笹台への大斜面











【写真を追加】












3 件のコメント:

  1. 最高でしたね。憧れのルートを踏破できて本当に良かったです!

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  2. 本当に最高でした!
    ひとつ頂きに立つとまた次の山(目標)が見えてきました。
    ちょっと背伸びするくらいのレベルの山行が、
    一番楽しめるのかもしれません。

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  3. TUさん、写真の追加ありがとうございます!
    パソコンの壁紙にさせてもらいます^ ^

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