2013/05/31

2013.5.26-27浅草岳

残雪と新緑を肴に酒を飲むのに、入叶津からの浅草岳に優る場所を知らない。山神杉から見下ろす小三本沢右岸台地の静けさ。その対岸の沼の平では猿崖からずり滑った多様で奥深い地形に脚を誘われる。平石山からはブナの大木が林立する。すだれ岩の尾根を過ぎれば、山頂北面にはなだらかな尾根または平原と沢が四方に広がり、数多の老木が連なる。南面の急崖との対照が特徴的でもある。猿崖裏の安沢源頭からの尾根は一段と味わい深い森で、クマの痕跡も随所に見られる。午後になれば時折遠くから雪崩の音が届く。標高差にして500~600mのこの森で、芽吹きが始まり新緑が過ぎるまでは2~3週間程度か。その間ならば、好き勝手に残雪の上を歩きつつ、沢を渡り尾根をまたぎ、好みの、もしくは春の喜びを最も感じる場所を探し出すことができる。その森で酒瓶をあおることができれば、そこは桃源郷と言って差し支えない。
 
寝過ごして入叶津の車止めを歩きはじめたのが11時過ぎ。それから翌日の17時頃に車止めに戻るまでの間、常時酩酊の中にあり、記憶が定かとはいえない。しかし、カメラに様々な景色が残されていたことから推し量るに、酒を片手にカメラをもう一方の手に、浅草の山中をふらふらとさまよっていたことは確からしい。
 
山神杉の祠。杉は昨年の落雷のため幹の途中で折れていた。
 
平石山付近。 
 
ブナの花。
 
芽吹きの色も様々。
 

 
タムシバ。
 
すだれ岩の尾根から山頂方面。
 
一晩テントを張ると、翌日にはテント周囲の雪面が10cm程度低くなり、テント下だけが盛り上がったようになる。雪面からの蒸発・昇華による雪消えの速さ。
 



 
クマのフン。ブナの新芽を食べているのか。
 
右奥から左に、太郎助山~毛猛山。
 

ハウチワカエデ。
 


林床の雪が消えればヤブが。

2013/05/21

2013.5.13-15 涸沢岳

メンバー:TS、NT(清津山の会)、MO

コース:上高地~涸沢カール~白出のコル~涸沢岳

タイム:5/12 中里総合センター17:30~沢渡21:15(泊)
     5/13 沢渡5:40~上高地6:00~横尾9:55~涸沢14:50(泊)
          5/14 涸沢6:10~ザイテングラード~白出のコル9:20~涸沢岳10:30~涸沢13:25(泊)
          5/15 涸沢6:45~上高地13:20~中里総合センター20:00




翌朝(13日)起きると天気!この3日間は奇跡的にも快晴の雪山登山日和だった。そろそろ雨女は返上できそうだ。

横尾谷の沢を本谷橋の手前で渡る。沢はデブリや落石が多く緊張する。遠くで雪崩の音。今年は雪が多く、登山道からヒュッテの屋根すら見えない。連日の寒さで融雪が進まず、ゴールデンウイークには積雪も。苗場山に続き私のホームグランド涸沢カール。ここからの景色は見飽きることがない。翌朝にそなえて鍋を食べ就寝。夜も遠くで雪崩の音がした。

5月14日も快晴。夜中の風もおさまり、ほぼ無風。絶好の登頂日和。早朝のクラストを避け、涸沢岳を目指してゆっくりのスタート。デブリの上を歩き、ザイテングラード寄りを行く。雪は多く、その上腐っているがとても歩きやすい。途中、小豆沢で小規模な雪崩。思わず先を急ぐ。高度が上がるにつれ北アルプスの山々が良く見える。何度も足を止めては景色を眺めて白出のコルに着く。コルから奥穂高を眺める。登るより降りる方が大変そうだ。下には落下防止のネットが張られていた。


涸沢岳の登山道には雪がなく、アイゼンを外して登る。誰もいない山頂を3人で独占。360度の北アルプスを楽しむ。もうこんなによく見える日には当たらないかもしれない。後ろ髪を引かれる思いで山頂をあとにする。お腹が空き、穂高岳山荘でご褒美のカレーライスを食べたが、これがまた美味しかった。お腹も満たされたのでいよいよ下山開始。真っ白な雪面に3人のトレースがくっきりと刻まれている。楽しくて仕方がない。あっという間にテント場に着いてしまった。

雪山はもう終わってしまうが、楽しい三日間を楽しい3人で過ごせて幸せだった。





























































































2013/05/07

2013.5.4-5 毛猛山

メンバー : IH TU MU
コースタイム
        4日 8:10 大白川発 ~ 9:10 こったが沢右岸尾根取付き
           12:50 足沢山 ~ 16:00 太郎助山直下 幕営
        5日 5:50 行動開始 ~ 7:00 百字が岳 ~ 7:40 中岳
           8:20 毛猛山 ~ 9:50  百字が岳 ~ 10:40 幕場
           11:50 下山開始 ~ 13:40 足沢山 ~ 17:00 尾根基部
           18:00 大白川
 
春山合宿。あいかわらずの少人数。しかも今回は山行部長も副部長も無念の欠席。毛猛山塊での藪こぎを山行目的としたKKさんは膝痛で直前に断念。しかし以前から毛猛山に憧れていたというIHさんの志を果たすべく、なんとか合宿を決行。
 
この冬の豪雪のため、国道252号線は未開通との情報。足沢山の登山口くらいならば車で行けるだろうと思っていたら考えが甘かった。大白川の集落を過ぎたところで通行止め。そこから登山靴をはいての舗装道歩き約1時間。
計画では足沢の左岸尾根に取り付く予定だったが、車止めで会った地元の人の話や、舗装道歩きがしんどいことから、登り口をこったが沢の右岸尾根に変更。只見線を歩いて末沢川をわたり、尾根の末端へ。
 
尾根の下部にはそこそこ残雪もあり、雪を拾いながら送電線の鉄塔まで。その先はやせたやぶ尾根の踏み跡を進む。ところどころ踏み跡がやぶに消えるが、細尾根を進むだけなのでルート取りの問題はなし。ところどころ濃くなるやぶをかき分けかき分け、荷物に引っかかる枝をやりくりしつつ前進。750m付近ではしばらく雪堤上を歩くことができたが、その先はまた黙々とやぶをこぐ。
 
足沢山まであと少しのところで広い雪の斜面となり一安心。
山頂には2名の登山者がおり、さらに後から2名が登ってくる。聞くと峡彩山岳会の方々で、半分は日帰り、半分は泊まりで毛猛山を目指すとのこと。
 
足沢山から先は、雪はあるものの崩れかけの箇所も多く、やぶの中に入ったり雪の上を歩いたりの繰り返し。踏み跡もあるのかないのかといったところ。太郎助山への急登はやぶこぎの楽しさが一段増す感じ。KKさんがいれば大喜びだったのだろうが。
 
IHさんが脚をけいれんさせる場面もあったが、なんとか計画より2時間遅れで太郎助山直下のテン場。まずはビールを雪に埋め、エスパースを設営。
そして今山行の最大の楽しみ、蓬平の山菜で乾杯。食担のわがままにKKさんが応えて採ってきて、今朝持たせてくれたもの。まずはウドをかじり、コゴメ(コゴミ)をマヨネーズとしょう油でいただく。さらに木の芽が。茹でて切ってすぐに食べられるようにしたものがタッパにいっぱい。ビールが進む。ウイスキーもどんどん減っていく。
夕飯は山菜の天ぷらと蓬平のコシヒカリ。これにて今山行の目的達成。就寝。
 下部ではブナが芽吹きだしている。
 
 やぶ尾根を満喫。
 
 雪を満喫。
 
 足沢山からやぶに突っ込む。
 
 太郎助山への登りの手前。
 
 左が百字が岳。右が桧岳。
 
 いいテン場がある。
 
 守門と浅草。
 
 
翌朝はガスの中を毛猛山へ向かう。太郎助山の山頂まではトレースがあったが、ここで途切れていた。もうやぶこぎはないだろうと思っていたが、百字が岳の手前までは一段と濃いやぶの中を行く。
だが尾根上に雪が続くようになると、アップダウンがわずかなこともあり、行程がはかどる。ときどき雪の薄いところを踏み抜いて足を取られるが、大した苦労もなく毛猛山に到着。
ガスが切れないので、仕方なく展望のないまま下山開始。だが徐々に視界が広がり、やがて毛猛山から続く未丈ヶ岳や越後三山、会津朝日岳方面も見えてくる。
未丈ヶ岳までは雪はしっかりついている。反対側の前毛猛山や六十里越方面はやぶの出ている箇所も多く、それなりのやぶこぎが楽しめそう。銀山平からの縦走もいいかもしれない。
 
テントを撤収後、来た道を戻る。帰路はできるだけやぶを避け、雪堤をつないで歩く。IHさんのストックで推進力をつけたシリセードが見事。ブナの新緑の前線は一日で数十メートルは上昇したか。
只見線をわたり、国道に足を引きずりつつ。
 
百字が岳。
 
ガスの中を行く。
 
毛猛山への最後の登り。
 
右が前毛猛山。左が浅草岳。
 
左奥の未丈ヶ岳から連なる稜線。
 
奥が毛猛山。
 
桧岳の右奥に唐松山、上権現堂山など。 
 
越後の雪山、やぶ山。 
 
前日より少し開いたか。
 
リョウブの芽吹き。
 
登り口と只見線。